なまり2016年11月19日 23:43

私が大学生の頃までは、まだみんな方言というか、なまりを恥ずかしいものと思っていた。
私も東京に行った時に、「わだって標準語ぐらいなんだもんだ」と気取って話をしたら、一発で「あら、あなた津軽でしょ!」と言われてガックリきたことがある。

そんな時代に何処に行っても堂々と津軽弁で通す友がいた。
場所は新潟。
大学の英語の授業。教科書を順繰りに読んでいき、遂に彼の番に。
と、何と津軽弁で英語を読んだのである。
あのなまり、あのイントネーション!
みんなは一体何が始まったのかと一瞬シーンとなり、それからは笑いをこらえるのに必死の形相であった。
やがて本人も気が付いたようで、「おめだぢ、何笑っているんだば?」で爆笑に変わってしまった。
「アナと雪の女王」の津軽弁版はあるが、英語の津軽弁版は未だにない。残念!

「なまり」ではもう一つ思い出が。
仙台の予備校に通っていた頃、榴ケ岡にある平家琵琶を弾くおばさんの所に下宿していた。
このおばさん、料理が超苦手。
弁当の中身が毎日同じ。
アルミの弁当箱に白いご飯。真ん中に梅干しで日の丸弁当。
まるで戦中派。
中を小さく仕切って、いつもグリーンピースの天ぷら一枚となまりが一切れ。
たったこれだけ。
なのにこの「なまり」がまた時々傷んでいて臭うから堪らない。
とても食べられない。
かといって他に食べるものはグリーンピースの天ぷら一枚のみなのである。
とてもお腹がもたない。
腐って帰ってくると、琵把の音と共に「平家物語」の迷調子。
それを聞いて空きっ腹が「グー」。
なんでグーなんだと空きっ腹にやつあたり。
我青春の悲惨な体験である。

このなまりとは生利節のこと。
主に鰹を加工したものである。
鉛、訛り、生利。
人生色々、なまりも色々である。