ありがとう2017年04月11日 10:28

ある時母が言ったのです。
「ありがとう」。

遠い昔のことです。
書道の先生の家の二階を借りて親子二人で住んでいました。

そんな時母が風邪を引いて寝込んでしまったのです。
私は小学二年生だったでしょうか。
何も出来ません。

でも御飯を炊かなくてはいけません。
お米は流しの下に置いてありました。

炊飯器には目盛りが付いています。
小さなカップにも目盛りが付いています。
そのカップで一合お米を掬いとり炊飯器に入れます。
そしてお米一合に合わせて炊飯器のメモリに合わせて水を注ぎます。
2、3度水洗いをして最後にメモリまで水を入れます。

タイマーが付いていたと思います。
タイマーをセットします。
そして水を多目にしてお粥を作ります。

みんな母が教えてくれた通りにしました。

おかずは梅干しと何だったでしょうか。
二人だけの貧しい食事です。
それでもお米が食べられるだけでも・・・。

その時母が言ったのです。
「美味しい。ありがとう」。

あの時の母の笑顔が今も忘れられないのです。
貧しい時代の母との一番の思い出です。

「ありがとう」は本当に心に浸みる言葉・美しい言葉です。